今回は独立するにあたって「資格は必要なのか」、についてまとめていきたいと思ってます。
各専門業種についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ちなみに僕個人としての結論から書くと、あった方が良いけど無くても問題ない、です。
業種・業態による
この考え方は人にも寄ると思いますが、僕個人としてはなくても全然問題ないと思っています。
ただ、法律上必要なものに関しては当然必要なものもありますので、自分の業態と照らし合わせて確認を行う必要があります。
例えば以下にあたるようなものは必ず必要になりますね。
電気工事
電気工事を行う作業を伴う場合は必ず電気工事士の資格が必要になりますね。電気工事での独立を考えている方はすでに2種の電気工事士はお持ちの方は多いでしょう。
請ける工事によっては第一種が必要になるケースもありますので、その点だけ注意が必要でしょう。
一般的に住宅やちょっとした店舗等の工事であれば2種の資格があれば十分と言えるでしょう。しかしもちろん1種も持っておいて損はないので、持っておくことで事業拡大のペースを早めることは可能でしょう。
(1)第一種電気工事士免状取得者
a. 電気工事士法において規制されている次の電気工事の作業に従事することができます。
1. 自家用電気工作物のうち最大電力500 キロワット未満の需要設備の電気工事
2. 一般用電気工作物等の電気工事
ただし、1の作業のうちネオン工事と非常用予備発電装置工事の作業に従事するには、特種電気工事資格者という別の認定証が必要です。b. 自家用電気工作物のうち最大電力500 キロワット未満の需要設備を有する事業場(工場、ビル等)などに従事している場合、事業主(当該電気工作物の設置者又は所有者)が産業保安監督部長に当該事業場の電気主任技術者として選任許可申請の手続きを行い、許可が得られれば、電気主任技術者(一般に、「許可主任技術者」といわれる。)となることができます。
ただし、この場合の手続きは、事業主が電気事業法に基づき手続きを行うもので、第一種電気工事士免状取得者本人が行うものではありません。(2)第一種電気工事士試験合格者(免状未取得者)
a. 産業保安監督部長から「認定電気工事従事者認定証」の交付を受ければ、簡易電気工事(自家用電気工作物のうち、最大電力500キロワット未満の需要設備であって、電圧600ボルト以下で使用する電気工作物(電線路を除く。)の電気工事をいう。)の作業に従事することができます。
b. 上記(1)のbと同様に許可主任技術者となることができます。
第二種電気工事士
a. 一般住宅や小規模な店舗、事業所などのように、電力会社から低圧(600ボルト以下)で受電する場所の配線や電気使用設備等の一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事することができます。
b. 免状取得後、3 年以上の電気工事の実務経験を積むか又は所定の講習(認定電気工事従事者認定講習)を受け、産業保安監督部長から「認定電気工事従事者認定証」の交付を受ければ、上記(2)のaの作業に従事することができます。
最大電力100キロワット未満の工場、ビル等に勤務している場合、上記(1)のbと同様に「許可主任技術者」となることができます。
https://www.shiken.or.jp/range_qualification/03.html 「一般財団法人 電気技術者試験センター」より引用
石綿作業主任者
こちらは比較的最近法改正により必要になった資格ですね。建設業にいる方の中では噂にはなっていたことと思います。解体屋さんや、元請けとなる可能性となる方は確実に持っておいた方が良い資格になります。
取引を行う予定の会社さんによっては、会社として資格者がいないとそもそも取引を開始できないという会社さんも中にはありますので、確実に取っておくべきと言えるでしょう。
2日間の講習+試験なので、2日間あれば取れる資格ということで、取っておくに越したことはない資格ですね。
事業者は、石綿取扱い作業については、石綿作業主任者を選任して、作業に従事する労働者の指揮、保護具の使用状況の監視等の職務を遂行させなければなりません(労働安全衛生法第14条、石綿障害予防規則第19、20条)。
「東京労働局HPより https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/kousyu.html」
そして、従来、石綿作業主任者は特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者のうちから選任することとされていましたが、作業主任者に要求される知識が他の特定化学物質に係るものと異なることから、労働安全衛生法等の改正により、平成18年4月1日からは、石綿作業主任者技能講習を修了した者のうちから選任することとなりました(平成18年3月までに特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者は石綿作業主任者となる資格を有しています。)。
石綿作業主任者技能講習を修了するには、都道府県労働局長の登録を受けた者(登録教習機関)が行う技能講習を受講しなければなりません。
石綿含有建材調査者
こちらも最近の法改正により必須になった資格ですね。元請の義務となるので、元請けになる可能性が少しでもある方は確実に取得しておくべきと言えるでしょう。
外部の調査機関に丸投げすることも可能です。
しかし金額がかかるのもそうですが工事規模の小さいものでもかなり時間がかかったりと、あまり現実的ではないケースがあります。
自分でもできるようにしておくことで業務の幅やスピードが大幅に改善されることでしょう。
事業者は、建築物、工作物又は鋼製の船舶の解体又は改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)の作業(以下「解体等の作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(それぞれ解体等の作業に係る部分に限る。)について、石綿等の使用の有無を調査(以下「事前調査」という。)しなければなりません(石綿則第3条)。
「厚生労働省HPより https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/investigator/」
足場主任者
こちらは足場の施工で独立を考えている方は確実に必要な資格になりますね。今は雇用されている場合だと、主任者資格がないまま業務に当たってしまっている方もいるかもしれません。
しかし独立するに当たってはそもそも資格がないと取引を開始してくれない会社様もありますので、この点は十分注意しましょう。
足場の組立て等作業主任者は、作業の直接指揮等を行う者であり、高さ5メートル以上の足場の組立て等の作業ごとに1名選任する必要がある。
厚生労働省では、足場からの墜落・転落災害を防止するため、平成 21 年6月に労働安全衛生規則を改正し、足場、架設通路及び作業構台からの墜落・転落防止措置等の見直しを行ったところです。
この度、当該見直しによる労働災害防止の効果等を検証し、必要な対策について更なる推進を図る必要があるとの観点から、「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」での専門家による検討を踏まえ、対策の強化を図ることとし、所要の改正を行いました。
「厚生労働省HPより https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000081490.html」
フルハーネス
こちらも外装工事に携わる方は必ず持っておくべき資格と言えるでしょう。
元請け下請け関係なく足場に上がり作業をする上では必要な資格になります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000473567.pdf
↑「厚生労働省HPより」
この他にも様々な資格や許可が必要な場合があります。自分の行おうとしている業務に必要な資格は必須と言えるでしょう。
まだ浸透していない、確認されない、からといって資格なしで始めようとするのは非常にリスクのあることです。
急に罰則や営業停止などの処分を受ける可能性もありますので、「知らなかった」では済まされません。
自分の行う業務についてはしっかりと調べてから必要な資格は必ず取っておくようにしましょう。
もしまだ持っていなければ資格を取得してからの独立をするべきと言えるでしょう。
ちなみに石綿に関する資格については、下請けとして仕事を請け負っていくのであれば、必要ない場合も多いので、こちらは持ってなくても問題ありません。
しかし施工管理やリフォーム屋、工務店、元請けとしての独立の業態になるのであれば、必須の資格になります。
いずれも二日間の講習+テストで比較的簡単に取ることができるので、独立してからでも良いので、必ず早めに取っておきましょう。
ちなみに僕の場合は独立当初は何の資格も持っていませんでした。
施工管理の資格などを取得したのも最近の話です。
実際にはそれでも十分やっていけるんですよね。
建設業の許可は?
これも結構色々聞かれるのですが、僕個人としては、なくても問題ないと思っています。
当然請けられる額に制限がかかるので、あるに越したことはありませんが、なくても独立して数人で運営していく分にはなくても問題ない範囲だと考えています。
事実僕もまだ建設業の許可は取っていません。
皆さん元請けでやられている方も勘違いされている方が多いのですが、複数工種が絡む場合の工事においては、上限は500万円では無く、1500万円になります。
いわゆる建築一式工事として請けられれば、1500万円までは建設業の許可なしで請けることができます。
建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。
ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。
*ここでいう「軽微な建設工事」とは、次の建設工事をいいます。
[1]建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
●「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
●「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
[2] 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
※上記金額には取引に係る
消費税及び地方消費税の額を含みます。
「国土交通省HPより https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html」
1500万円での工事を請けることができれば大抵の工事は受注できるのではないでしょうか?
逆にいえば、この金額以内で請けられない規模の工事は請けない方が良いとまで思っています。
ここについては国交相も同じ考えなのでしょうが、いきなり1500万円を超える工事を請けて大丈夫ですか?というところです。
長い付き合いの顧客であれば安心、母体の大きい会社であれば安心、と思うかもしれませんが。
依頼した職人さんたった一人の言動や施工不良のせいで一円も支払われない可能性ってありますよね?
大きな会社さんであればあるほど、気に入らないところがあると、かなり強気に出てくるケースが多いです。
そうでない場合でも、請求のサイクルがお客様と協力業者さんで合わないケースも多々あります。
万一そうなった時に、それでも会社大丈夫ですか?
裁判するにしても、当然結論が出るまでに時間がかかりますので、それまでの期間1500万円先出しできますか?
このリスクを考えていくと、大きすぎる工事ばかり受注していくのはあまり得策ではないと思っています。
それであれば200〜500万円程度の仕事をコンスタントに取っていく方がよほど安定していると言えるでしょう。
僕も当然これまで請けた工事は1500万円以内の工事のみです。
来年には建設業の許可を取得予定ですが、取得してからも当分は2000万円を超える工事は請けるつもりはありません。
よほど付き合いが長いお客様で間違いないお客様の場合であれば請けるかもしれませんが、未入金になった瞬間にかなり苦しくなりますからね。
そのリスクも鑑みて考えるべきと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
資格についてまとめてみました。
「独立するには〇〇の資格がないとダメでしょうか?」
という場合に僕が言えるのは、「あった方が良いけどなくても基本的には大丈夫」です。
もちろん法律で決まっているものは取得してください。
それ以外のところで権威性の為だけに取得を悩んでいるのであれば、その悩んでいる時間を営業活動などに充てた方がよほど建設的です。
「資格を取ってから〜」
「資格がないから〜」
と言っている方の8割くらいは正直それを理由にして独立に踏み出せていないだけの方が多いです。
少し厳しいようですが、資格云々よりも、売り上げを上げるための活動をできる人が勝ちます。
やったもん勝ちです。まずは一歩踏み出してみましょう。