今回は自分の給与の決め方についてまとめてみます。
個人事業主の場合であれば、基本的には残った金額がすべて所得となるので、あまり関係ないかもしれません。
しかし法人を設立する場合だと、事前に自分の給与を決めておき、各所に届け出ておく必要があります。
今回はその考え方を少しまとめていますので、スタートの段階から法人設立を検討している方は特に参考にしてみてください。
給料の決め方3選
自分の給料はいくらでも良いのです。これだけ聞くとものすごく良く聞こえるかもしれませんが、悪くいうと決めなくてはならないのです。
業績が良い時は一気に上げるということもできませんし、悪い時に下げることもできません。
厳密にいうと出来なくはないですが手続きが煩雑だったりします。
なので、安易に決めてしまうと後々辛い思いをすることもありますので、慎重に決める必要があると言えるでしょう。
今回はその決め方を3つ挙げてみます。
前職での給料と同じにする
僕の場合はこれでした。社会保険など総支給から控除される額もわかる上に、これまでの生活スタイルを変える必要がなかったので、わかりやすいというメリットがあります。
しかし気をつけるべきなのは、そこそこな規模の会社で管理職についていたりした場合は、それなりな高給をもらっていることがあります。
その場合だと、独立してすぐにそれと同じ給料にしてしまうと、かなり利益を残さないと赤字になってしまうケースが多々あります。
やはりマンパワーで作った売り上げからの利益と、一人で出す売り上げからの利益ではかなり大きく差が出てきます。
そういった場合ですと、この方法での給与決めは危険かもしれません。
僕の感覚値で言うと〜500万円くらいまでは前職の給与を参考に決めてもセーフなラインといえます。
・〜500万円程度なら前職の給与を当てにしてみてもあり
・利益の見込みは必ずシビアに考えておく
予想される利益から考える
これは僕が3年目にやった給与の決め方です。
実際に2年間稼働したあとだったので、売り上げや利益の予測もつきやすく、大きく外すことはありませんでした。
しかし独立したての場合は、すぐにでも届出を出す必要があるので、実際はあまり当てにならない予想から給与を決めなくてはならなくなります。
自分の想定している利益の×0.6くらいを目安にして給与を決めてみると良いかもしれません。
もちろん当てはまらなくて、実際は10倍も利益が出てしまった!なんていう方もいるかもしれませんので、ここは本当に当人次第でもあり、業界の動向によっても変動あるので、もし全く想像もつかないようであれば、独立前に一度僕でも誰でもいいので相談してみると良いでしょう。
・自分の想定利益の×0.6くらいが実効の利益くらいのイメージ感
生活に必要な最低ラインにしておく
とりあえず初年度はこうしておくというのはアリだと思っています。
あまり良くはありませんが、必要な経費と認められれば購入したもので会社の利益から経費として差し引くことができますので、多少の融通は利かせられます。
個人として最低限確実に払わなければならないものを確保しておけば、会社として赤字になる確率も低くなるでしょうし、会社からの貸付とする必要も少なくなると言えるでしょう。
たまにとりあえず「初年度は0にする」という方もいますが、実際にはあまり得策ではありません。
その分会社からの貸付金として計上される金額が膨らむので、銀行や信用金庫などは非常に嫌がる決算書になります。
・最低限のラインを確保して、必要なものは経費計上できるものは全て経費計上する。
結局どの決め方が良いの?
初年度に関しては売り上げや利益の見込みがつきにくい以上、正直どれが正解とはいえません。
ちなみにですが、税理士さんによってはこの決め方3つとも全てダメだという税理士さんもいます。笑
しかし僕の経験上、独立して初年度の見通しを外さないでたてられる人はほとんどいません。
上方にぶれる人もいれば下方にぶれる人もいます。
2年目、3年目に関しては顧問税理士さんとしっかりと相談した上で決めていくことが必要でしょうが、初年度に関しては税理士さんに聞いても答えられないと思います。
初年度に関しては、この3つの中から自分に合ったものから選ぶのが良いと思っています。
想定される利益がかなり実行に近いものであれば、税理士さんと相談をすることで、税制の面からのアドバイスももらうことが出来るでしょう。
この3つの決め方だったとしても、最低限出さなければいけない利益を把握できますよね?
そうすることで、初年度の業務により一層力を入れることが出来れば良いですね。
利益が出過ぎたらダメなの?
もちろんダメではありません。利益が出ることはもちろん良いことです。
ですが、初期の一人で頑張っているくらいの段階では、出した利益に対しての税金などが想像以上に重く感じると思います。
特に初期の段階から融資を受ける場合だと、返済していく分はもちろん経費としての計上はされませんので、ギリギリ黒字くらいの経営をしていると、口座内の資金がどんどん目減りしているように感じられると思います。
これが財務状況をわかりにくくする原因でもあると思いますが、体感してみると精神的にもかなり苦しいことがわかると思います。
僕のケースでお話ししますね。
2年目の段階でそれなりな金額の融資を頂いていたので、年間の返済額は400万円近かったです。売り上げは約8000万円。
ちなみに法人税・消費税合算を概算で言うと利益の30%程度を払う計算になります。
僕の場合は業務で出た利益が自分の給与以外で1000万円程度だったので、
書類上では300万円以上税金関連で払う必要があり、融資の返済で400万円がなくなると、実際に手元に残るお金としては200〜300万円だけになります。
でも300万円儲かってるじゃん!と思われがちなんですが、1000万円利益を出したと思ったら残ったのはたったの300万円ですよ・・・
これくらい税金は重いです。とくに融資を受けている方からすると本当に手元にお金が残る気がしないくらい重いです。
節税したくなる気持ちが本当によくわかります。
なので、そこそこな利益が出る想定であれば事前に広告費などにかけて自社に投資すべきと言えるでしょう。
おそらく皆様が思っている以上に税金は重いので、十分注意しておきましょう。
じゃあ赤字にすれば良いの?
正直融資を全く受けるつもりがなければこれが最も良いと思います。
しかし建設業というのは先出しになる費用が他の業界に比べて桁違いに多いケースがありますね。
一件の仕事が1000万円を超える仕事が当たり前のように出てきますよね。
元請けとして仕事を請け負っていたとして、顧客の支払サイトが60日で、自分が業者さんに払う支払サイトが30日の時点で、最低でも30日は前払いになるわけですね。
実際はこれにかかる工期なども考慮していくと2〜3ヶ月近く前払いが続くこともあるわけです。
数千万円を半年前払いできる体力があれば大丈夫かもしれませんが、それだけの資金力を持っていたらそもそもこのページは見に来ていないと思います。笑
そうなってくると、会社の成長とともに、どうしても融資を受けるタイミングというのは出てきますね。
その際に赤字決算を迎えていると、銀行や信用金庫は非常に嫌がります。
「1年頑張ったんですけど1000万円赤字でした、来年は頑張るのでお金貸してください」
何いってるのっていう話になりますよね。
建設業での独立においては、融資の可能性は基本的には必ず残しておきたい選択肢になります。
それを考えていくと基本的には赤字での決算は非常に良くないと言えますね。
ちなみに規模の大きい会社さんの中には、取引の前に決算書の提出をさせられ、直近2期連続黒字でないと取引ができないという会社さんもあります。
なので、給与に振り切りすぎて会社自体が赤字になってしまうというのは本末転倒といえますね。
決算前には税理士さんとしっかりと色々相談して良い方向に持っていってもらえるように日頃からコミュニケーションを取っておくようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?独立の際の自分の給与の決め方についてまとめてみました。
色々なサイトを見ていると、この3つの決め方はあまり良くないという意見が散見されるのも知っています。特に税理士さん系のHPでよく書いていますね。
もちろん税理士さんを敵視する訳ではありませんが、初年度にいきなりその人たちにアドバイス貰っても正直当てになりませんからね。
ぜひ今回のお話も独立を考えている方は参考にしてみてください。
その他、いろいろ不安なところがある方など、メールでの相談受付もしていますので、ご興味のある方はお問い合わせください。